ほぼ日刊イトイ新聞

Time 2021-09-14 23:18:02

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・いままで35年間、一度でも「今日がマリオの日だ」とか 思ったことがあったわけでもないのだけれど、 たまたま、昨日9月13日が『スーパーマリオブラザーズ』が 発売されて36年の日だと知った。 そのころのぼくは、風邪をひいたことがきっかけだったのか 「ぜんそく」の症状がひどくなって苦しんでいた。 夜になっても横になるとひどく咳き込んでしまって、 呼吸が苦しくなるほどで、毎夜寝不足だった。 横になると咳が出るということで、上半身を起こしている。 本を読むとかすればいいのかもしれないけれど、 そんなふうに苦しいときには読書どころじゃない。 そこにあったのが『スーパーマリオブラザーズ』だった。 コントローラーを持って、敵と戦ったり、 なにかを飛び越したり墜落したりしていると、 たのしさやら口惜しさやらの興奮がずっとあって、 咳き込むタイミングを失ってしまうのだった。 やがて、芯から眠くなって眠れるということになる。 ぼくは、本気で、あのとき、ぜんそくのじぶんは 「マリオ」に助けられたと思っている。 やがて、ゲームをつくるほうの世界に入ったのも、 そのときの感謝の気持ちがあったからだとも言える。 主人公を、「ぜんそく」の設定にしたことも、 そういう子どもたちを励ましたいという意味もあった。 なにが人生を変えるかは、なかなかわからないものだ。 ぜんそくの経験は、ぼくの考え方をずいぶん変えた。 当時、医学的な勉強の足りなそうな医院の おざなりな「治療」で症状を悪くしたようにも思った。 なんとか治りたいという気持ちで、民間療法やら、 さまざまな市販薬、不可思議な器具、迷信、祈祷、 ペーパーバックスで紹介される「新治療法」、 手当り次第に試して、少しもましにならなかった。 結局は「呼吸器科」の専門の先生に出会って、 「ぜんそく日記」をつけながらクスリの調整をして、 症状が出にくくなる方向に向かっていって、 最後にはすべてのクスリが不必要になった。 なによりの決め手は、ステロイドの吸入薬だった。 いまはさらに進化しているかもしれないが、 当時、ちゃんと勉強している専門医がやっている 「ぜんそく」にとってのふつうの治療だった。今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。苦しいときって、変なことなんでもやりたがるんだよなぁ。

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